Kyojiのよろずひとりごと

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

旅客船沈没事故での韓国メデイアと日本のマスコミ

ご存じの通り韓国で起きた旅客船沈没事故は痛ましいものだった。
まず犠牲者に心より冥福を祈りたい。

そしてそれに関する記事だが、お断りしておくがこの記事は日本のメデイアの記事ではなく韓国の記者の記事を日本語に訳したものである。またわざわざいうまでもないのだが、本記事は結果的には韓国政府や韓国のメデイアを批判する内容の記事にはなるが、いわゆるネットでバカの一つ覚えみたいに何かにつけて韓国や在日の人たちに対する差別的な言動を行う愚か者たちの記事とは一線を画すものである。

■旅客船沈没事故で恥をさらした醜悪な韓国メディア (Huffing Post)
http://www.huffingtonpost.jp/yongjun-min/korea-media_b_5172148.html

4月16日、メディアは一日中、旅客船沈没のニュースを伝えた。ひどいニュースだった。そして、そのニュースと同じくらいひどいのは、韓国メディアの現状だった。

アメリカのケーブルテレビHBOの連続ドラマ「ニュースルーム」は、ニュース番組を制作する人々の話だ。有名なアンカー、ウィル・マガボーイ(ジェフ・ダニエルズ)を主人公に、テレビ局の報道部門の雰囲気をリアルに伝えるこのドラマは、最近のニュースを素材にエピソードを展開することで、生きた本物のニュースが生まれる現場にいるような気にさせる。そして、公正さに重点を置いたニュースの価値とは何なのか、自問自答している。

個人的にとても印象的だったのは、シーズン1のエピソード4の最後、アリゾナ州で起きた銃乱射事件の速報を伝えるために急いで情報を集める場面だ。この速報の焦点は、下院議員のガブリエル・ギフォーズが射殺されたという情報だが、ラジオは彼女の死を速報し、系列ケーブルテレビのニュースも、やはり彼女の死を速報で伝え始め、ウィルのニュースルームも動揺が走る。
しかし、ニュースルームのスタッフは、公式に確認されたときに備えるだけで、不正確な他のメディアに追随せず、状況を注視する。
<中略>
スタッフの1人が言う。「人の命でしょう。ニュースではなく、医師が決めるんです」。そして結局、誤報だったことが明らかになる。
ギフォーズは生きていて、手術の準備をしているという病院の情報を伝えたのだ。我慢して正確な情報を確認することで、ただ一つの真実を伝える機会を得たのだ。

韓国では疲弊する日々が続く。16日朝、海上でフェリーが沈没したという速報が流れた。午前10時ごろの政府の会見では、済州島に向かう旅客船に計477人の乗客が乗っており、修学旅行の高校生325人もいて、その客船が沈没したという、聞いただけで気分が落ち込む速報だった。

それでも不幸中の幸いと思った。生徒が全員救助されそうだという報道が相次ぎ、午前11時ごろには生徒がすべて救出されたというニュースが生徒の親に伝わった。しかしすぐに事実でないと報じられた。行方不明者数は発表ごとに変わり、乗客の数さえも不明確になった。政府が発表する行方不明者の数はゴムひものように伸び縮みした。それに応じてメディアの訂正報道が続いた。
最も深刻な状況は4時30分ごろ。救助者数を368人としていたメディアが、集計ミスで誤った情報を伝えていたとして、実際の救助者数は半数以下の164人と訂正した。多くの生徒が救助されるのではないかという希望を、津波のような絶望で押し流したこのニュースの後、日は暮れ、空よりも気持ちが先に真っ暗になった。

一線の記者の一人は、こんなにめちゃくちゃな政府統計は初めてだと不満を吐露した。しかし、果たして政府の統計だけが問題だったのか。午前10時前後に始まった各メディアの速報レースもめちゃくちゃだった。

インターネットとテレビ・ラジオ、公共放送とケーブルテレビはどれも、惨事から得たすべての情報を先を争って「速報」の名で配信した。政府が発表すれば受け売りした。誰も疑う余地がなかった。知りたいという意志より、知ってもらおうという意志が勝った

正確な情報より迅速なニュースが重要だった。記者ではなく、速記者だけが存在しているようだった。メディアの現状がはっきり分かった。事故現場の珍島は、ポータルサイトを舞台にしたメディアの速報の戦場となった。数多くの茶番が、メディアの記事という美名の下に掲載され始めた。

タイタニックポセイドン...船舶事故を扱った映画は?」という、信じられない見出しを掲げた「イートゥデイ」の記事は午後2時40分ごろ掲載された。非難が殺到しようとどうでもいい。炎上させてトラフィックを稼ごうとする下心が見え見えの記事だった。

そして15分後、この媒体は「SKT、緊急救援物資を提供、一時的に携帯電話基地局を増設『よくできた〜よくできた〜』」という醜い見出しを掲げ、一方、複数のインターネットメディアは、客船の保険加入状況に注目する記事を送稿し始めた。朝鮮ドットコムは「セウォル号の保険は、生徒が東部火災保険、客船はメリッツ船舶保険に加入」との見出しで記事を配信し保険会社の陰謀説が提起されてもおかしくない茶番劇だった。(一部編集)

一方、同じ日にケーブルテレビの報道専門チャンネルJTBCのニュース9は、アンカーのソン・ソッキ氏の長い謝罪でニュース番組を始めた。
「今日(16日)、昼の旅客船沈没事故の速報をお伝えするとき、私たちのアンカーが救助された女子生徒に質問した内容が、多くの視聴者からお叱りを受けました。どのような言い訳も必要ありません。私が学んできたことを、先輩として、責任者として後輩アンカーに十分に教えなかった私の責任が最も重大です。深くお詫び申し上げます」

ソン・ソッキの謝罪は、暗闇で覆われたメディアの終盤戦に差した一筋の光のように感じられた。公正な報道も重要だが、自分たちが何を間違ったのか認めて謝罪するのもメディアの役割だ。*注1ニュース9」は、ソン・ソッキは、少なくともその座を守った。
<中略>
「メディアの座を取り戻すんだ。メディアを再び名誉ある職業にするんだ。偉大な国にふさわしい討論の場を生み出す情報を提供する、夕方のニュース番組を制作し、礼儀を知り、尊重することを知る、本当に重要な本質に回帰すること。下品なものは捨てて、ゴシップやのぞき見もやめて、愚かな大衆に真実を伝えること。人が好きそうな話はしない。そうすればメディアが、みんなの求心力になる」
ドラマ「ニュースルーム」で登場するセリフだ。皮肉なことだ。今日の韓国のメディアは、これを違う方法で実践した。メディアは真実を伝えようという意志よりも、醜悪な意図がまず目についた。無分別な言葉によって、傷ついた人々はさらに踏みにじられる。聞きたくて知りたいニュースは限りないのに、知る必要のない、ともすれば知ってはならないニュースばかりが耳元に放り出される。

悲劇は一種のショーとなり、秒単位で販売され廃棄される。まるですべてのメディアが一致協力しているかのようだ。恥を知らないからだ。16日にほとんどのメディアが見せた策略は、ネット通販やテレビの通販番組で情報を売るのと変わらなかった。
<中略>
メディアが真実を追求しなければならないのは、常に自明のことだ。*注2しかし、真実を追求するにはそれなりの覚悟と実力が必要だ。緻密な企画で真実に近づくことは、単純な正義心だけではできないからだ。今日の社会の人々は、スマートフォンで膨大な情報を共有し、世界のあちこちを見ている。その情報を取捨選択するのは自分の力量だが、読者は知っている。知ることができる。あるいは知らなければいけない。

ゴシップを生産するのはメディアではない。よく私たちが「知る権利」と言う、個々人の生活に大きな影響を与える情報を伝えるのがジャーナリズムでありメディアである。最も重要なのは、そのメディアがまともに機能しているかという問題だ。*注3その次に重要なのは、果たして私たちに情報を分別する力があるかという問題だ。信念あるメディアの登場と同じくらい重要なのは、信念を守れる大衆そのものかもしれない
<後略>

率直に云って韓国の今の政府の人間と韓国のマスメデイアには深刻なほど多大な問題があるとかねてから思っていた。とはいえ、このマスコミの体たらくは決して対岸の火事ではない。日本の最近のマスコミについても思い当たるところが多々あると思う。

例えば*注1

公正な報道も重要だが、自分たちが何を間違ったのか認めて謝罪するのもメディアの役割だ。

を忠実に実行している、と言い切れる日本のマスコミ人はどのくらいいるだろうか? 誤報を流したり、真実とは違う報道をしてしまったときに多くの場合メデイアは謝罪をしぶるし、謝罪をした場合でも「気を付けないと気が付かない」くらいの小さな謝罪の仕方しかしない場合が殆どではあるまいか?

*注2について

メディアが真実を追求しなければならない

今日本のマスコミ人で崇高なジャーナリズム精神を持って真実を追求していると自負できる人間はどれくらいいるだろうか? 福島原発にしても政府や東電の発表した(多くは「真実を隠蔽された情報だ」)情報をたれ流すだけで実際に福島についてどれだけの真実を伝えているというのだ? 多くの日本国民は原発に関する報道しない自由」を行使するマスコミに対して大きな不信感を抱いている。韓国のアンカーマンはジャーナリストらしくきちんと謝罪したが、この件に関して日本のマスコミ関係者から反省の弁が出たことなど聞いたことがない。

*注3について

最も重要なのは、そのメディアがまともに機能しているかという問題だ。

残念ながら今の日本のマスコミを見て「まともに機能している」と感じている人は少ないと思う。本来は政治権力の暴走をチェックすべきはずなのに、最近のマスコミは明らかに権力迎合が目立つ。その方が「商売」をしやすいといわんばかり、ジャーナリズムよりも商売を優先しているかに見える。記者もサラリーマン化し、ジャーナリストというよりは単なる記事を書く担当者のようである。先ほどのように権力に迎合、権力が許可した情報のみを流し、危険地域には行かないなどという「コンプライアンス」という名の訳の分からん取材放棄で報道しない自由」を行使するというありさま。

これでも日本のマスコミは「まともに機能している」といえるのだろうか?

それを考えると日本のマスコミは韓国のマスコミを笑えないはずである。

ただそれを加味しても確かに今回のあの痛ましい事故に関する韓国のマスコミの報道ぶり、そして韓国政府の対応ぶり、遺族の感情を逆なでする一部の心ない議員の発言などどれをとっても吐き気がするほど酷いといわざるを得ない。

韓国に関する記事が出ると必ずどこかに反日がらみの記事が紛れ込んでいる。だがそれも日本のマスコミのダメな点の1つである。

日本のマスコミの大きくダメな点の1つに相手国の政府の情報と相手国のマスコミの情報しか流さないという体質がある。日本のマスコミが韓国や中国の一般庶民を取材することなどめったにない。私はそれを記者クラブ体質」と呼んでいるが、それが正しい報道を阻害していると同時に、日本国民に韓国や中国の国民に対する誤ったイメージを植え付けている。

確かに反日がらみの発言をすると支持率が上がるというデータがあるため、韓国政府やマスコミのその手の発言が後を絶たないが政府やマスコミの声=韓国国民全員の声では決してない。寧ろ逆である。これは中国の場合でも全く同じ。

つまり日本や中国、韓国の関係を悪化、悪化する方向に煽っているのは日韓双方のマスコミということができる。

しかし上記のような記事を書く記者がいるということは韓国のマスコミにも「自浄作用」が少しだけ残っているといえるかもしれない。ちなみにこういう良心的な記者は変に反日感情を煽るような記事は経験上書いてはいない。こういう記者が増えることを期待する。

ちなみに日本のマスコミの方は「自浄作用」ははたしてあるのだろうか? 残念ながら疑問に感じざるを得ない。