Kyojiのよろずひとりごと

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

豊臣家の滅亡は既に秀吉時代に始まっていたー有力家臣を失った秀吉

久々に軍師官兵衛の記事です。

秀吉の命により黒田家が生き残るために宇都宮家を滅ぼさざるを得なかった模様が描かれましたが、このころから官兵衛の心は秀吉から離れはじめます。

またすでに加藤清正福島正則石田三成の深刻な対立が芽生え始め、また茶々―後の淀殿の存在も豊臣家の中に不協和音を植え付けます。

秀吉は一世一代で農民から最高権力者の関白ー後に太閤に出世した日本史上では唯一の人物。世界でも農民から最高権力者に出世した人物は稀有な存在です。(中国では漢王朝を作った劉邦明王朝朱元璋という例はありますが..)150年以上続いた戦乱の世を終わらせ、天下統一という大事業を成し遂げた人物ではありますが、その権力基盤は元々弱いものでした。

以前、歴史の価値観を大きく変える人物の種類として

A - 既存の価値観を破壊する人物
B - 新しい価値観を創設する人物
C - 新しい価値観による社会を維持する人物

の3種類がいると書きました。

戦国時代は中世から近世への時代の変遷にあたり、豊臣秀吉は上記でいえばB -に当たる人物かもしれません。

時代の価値観が変わる時にA からC を成し遂げた人物はいません。そしてたいていの場合C 以外の人物は志半ばで倒れています。

C のパターンの政治家、戦国時代なら徳川家康、鎌倉時代なら北条義時、泰時がそれにあたりますが、このC 以外の人物で多いのは、創始者一代の繁栄のみで滅ぶ、もしくは落ちぶれてしまうというケースがj殆どだということです。

これは洋の東西を問わず、有能な人物であり最高権力者の座を手に入れながら一代のみで終わってしまう人物は必ずいます。ローマ時代ならカエサルしかり、中国なら秦の始皇帝しかり。

秀吉も残念ながらその範疇に入る人物で、私はタイプを見ると本来ならA のカテゴリーに入る平清盛にある意味非常に似ています。共通点がとても多いのです。

どこが共通するかというと

1.既に初代の頃に滅亡の種が芽生え始めていた。
2.自分の理想、夢を追いかけ足元を固めることを怠った
3.気が付かないうちに味方の多くを失った

まず1.ですが,平清盛は有能な嫡男の重盛を失い、平家も武家よりは実質的に公家化し。かなりタガが緩んでいました。結果的にその体質が滅亡につながりました。
 秀吉の場合はある意味不運でしたが、秀吉の存命中に有力な家臣を次々と失った点が大きいと思います。秀吉は農民、足軽から身をおこしたためただでさえ、家臣等の権力基盤が弱かったのですが、しかし数は少なかったものの有力な家臣は多かったといえます。その家臣を秀吉の存命中に多く失ったことが大きいでしょう。

秀吉存命中に他界した有力家臣

竹中半兵衛 − 軍師 病没
蜂須賀小六 − 秀吉の若い頃からの盟友。病没
豊臣秀長  − 秀吉の実弟(異母弟?) 特にこの秀長の死は大きかったといえる


秀吉死後に離反した有力家臣

黒田官兵衛 − 軍師 徳川方
加藤清正 − 関ヶ原で徳川方
福島正則 − 関ヶ原で徳川方
池田輝政 − 関ヶ原で徳川方
・浅野幸長 − 関ヶ原で徳川方
藤堂高虎 − 関ヶ原で徳川方

次に2.ですが 平清盛は日本を今までにない貿易立国にしようという理想を追いかけ、ビジョン過多の状態に立ち、結局は足元を固めることを怠ったことが平家があっさり滅びる原因を作ってしまったわけですが、秀吉の朝鮮出兵ーいわゆる文禄・慶長の役は明らかに不必要な事業で、結果的にはこの時の石田三成の過剰なまでの秀吉に対する「讒言」加藤清正福島正則を始めとする「武断派」との対立を呼び、豊臣家の事実上分裂という事態を引き起こしたわけです

最後に3.ですが、結局2.と同様、平清盛の場合は足元を固めなかったため、いつのまにか平家以外の武将は全て平家の敵に回ってしまい、それがあっさり滅びる原因にもなったわけですが、豊臣家の場合も石田三成のやや横柄で暴走といってもいい行動が結果的に豊臣家の力を大きく削ぐことになり、関ヶ原の闘い以降豊臣家は60万石の一大名に落とされることになります。
(もっとも山岡荘八のように石田三成を極悪人であるかのような描き方はいささか私も行きすぎだとは思います)

いずれにせよ豊臣家滅亡の種は既にこの頃から芽生えていたことは確かだと思います。

来週はいよいよ軍師官兵衛の第一回で描かれた秀吉の北条、小田原攻めの様子が描かれるようです。既に官兵衛を過剰なまでに警戒する秀吉を見て、官兵衛は家督を長政に譲り、隠居を申し出ます。(但し秀吉は家督を長政に譲るのは了承したものの、官兵衛の隠居は許しませんでした)

あと12回ですが。そろそろ佳境に入ってくるころかもしれません