Kyojiのよろずひとりごと

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

テレビ朝日の政権圧力屈服でマスコミが失ったもの

このことに関しては既に多くの記述が語られているので今さらいうまでもないだろう。例の古賀氏の報道ステーション降板問題。かつては政治権力にとって「目の上のたんこぶ」であったテレビ朝日がまるで首輪につながれたように政権にすりよった情けない姿を世間にさらすことになってしまったこと。

テレビ朝日の広報部は報道ステーション」のプロデューサーに放送内容を批判する文書を出していた問題。テレ朝広報部は本紙に文書受領の事実を認める一方、「特定の個人・団体からの意見に左右されることはありません」と回答しているが、

これを額面通り受け取る人は少なくても一定の知的水準を有している人間の中には殆どいない。それは今回の事態に対してテレビ朝日が詳しい背景について何ら詳細な説明がないこと、そして何よりも政府からのこの「圧力文書」に関してテレビ朝日が何ら視聴者に対して説明もしていないことが原因である。それゆえテレビ朝日の広報部の回答には全く説得力はない

これでは政府の圧力に膝を屈したと受け取られても仕方あるまい。少なくとも世間の大半はそう受け取っている。

■No! といえなくなることからファシズムは始まる

それにしてもかつて久米宏が「ニュースステーション」をやっていた時代、筑紫哲也などがNews23をやっていた時代なら、例え政府からこのような圧力があっても一蹴したに違いない。

だがこのテレビ朝日を始め各報道機関の経営者は政府からの「圧力文書」にただただ狼狽し、いとも簡単に膝を屈してしまっている。いくらテレビ朝日側がそれを否定してもきちんとした説明がない以上そう受け取られても仕方あるまい。

実際先の衆議院総選挙での安部政権からの「要望者という名の圧力文書」に対して異を唱えた報道機関が一社でもあったか? ということだ。私の知る限り一社もないはずである。

そもそも報道に対して「要望書」を送ること自体、報道への介入以外の何物でもない。当然政府のいう「公正な報道とは政府を批判しない報道」という意味である。

そして今安部政権を表だって批判するマスコミ報道機関は殆どなくなってしまった。まさにこれは大政翼賛の報道体制がほぼ完成したことを意味する。

劇作家の平田オリザ「異議唱えなければファシズム広がる」日刊ゲンダイで述べているが今はまさにそういう状態になってしまっている。誰かがこの流れを止めることを考えなければこの国は完全にファシズムの国になってしまう。とにかくマスコミを含め政府を公然と批判できなくなった社会はもはやファシズムの社会といっていいのである。

■劇作家・平田オリザ氏「異議唱えなければファシズム広がる」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/158874/2

私がこのブログで安部晋三ファシストである、と再三再四述べた時本気にした人は少なかった。しかし今はどうであろう?

■何故マスコミはいとも簡単に政府の圧力に屈するのか?

問題はここだ。たかだか政府がマスコミに出した紙切れ一枚にどうしてマスコミの経営陣はああも狼狽するのか? 一体マスコミの経営者は何を恐れているのか?

どこまで真をついているのか不明だが日刊ゲンダイがマスコミが「本業以外の事業」に手を染めているのが一因と書いている。
■「報ステ」も“圧力文書”触れず テレ朝が安倍政権に弱腰な理由
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/158906/3

フジサンケイグループが元々政府の広報機関のようなメデイアになっているのもお台場のカジノ建設という鹿内一族の「悲願」がからんでいるという噂もあるし、テレビ朝日も森ビルグループとの再開発計画にからんで政府に逆らえなくなっている、という話だ。もしここの記事が事実だとすればこの記事の主張のようにフジサンケイグループテレビ朝日も放送免許を返上し再開発業者に徹するべきである。その事業のために政府に尻尾をふるような放送メデイアはもはやジャーナリズムにとって有害なメデイアでしかない。

まあこれに関してはまだ憶測の域を出ていないところもあるのでこの程度にしておくが、1つだけはっきりしているのはこれはマスコミ報道各社の経営陣は

いずれもサラリーマン経営者である、  ということだ。

これは何を意味するのか? テレビ朝日に限ったことではなく日本の大企業の大半がこのパターンだがサラリーマン経営者は当然あらかじめ任期がある。

殆どのサラリーマン経営者はその任期につつがなく、無難に過ごせば死ぬまでセレブな生活が約束される。それゆえ殆どのサラリーマン経営者は思い切った経営戦略など持たない、ただただ無難に任期を全うすることしか考えていない人間が多い。

それがたまたま不動産事業か何かわからんが「自分の任期にミソをつける」可能性のある事態が起きるとサラリーマン根性丸出しで狼狽する、という構図が今回あるのではないか、とも思う。後先を考えず自分の任期しか頭にない経営者連中
頭の中にあるのは「自らの保身」だけである。霞が関の官僚と同じメンタリテイだ。

もしこれが今回の事態の背景にあったとすると事態は深刻である。なぜならこれは今のマスコミの体質の問題になるからである。

そして今回の事態でテレビ朝日が失ったものは大きい。

政府の圧力への屈服で再開発事業は安泰になったかもしれないが、視聴者の信頼というお金では買えないものを失ってしまった可能性が高い。

テレビ朝日に限らないが、マスコミは自らの保身しか考えないサラリーマン経営陣によって今まさに戦前の軍国主義への大政翼賛化と同じ過ちを犯そうとしている。これはファシズムをこの国に定着させる、という取り返しのつかない事態を呼び起こす。